114B40

75歳の男性。S状結腸癌のため全身麻酔で腹腔鏡下S状結腸切除術を行うため手術台に移動した。身長164cm、体重58kg。静脈路を確保後、酸素マスクで酸素化し、急速導入で麻酔導入を行い気管挿管した。麻酔回路に接続し、酸素流量5L/分で呼吸バッグで手動換気した。上腹部聴診では空気の流入音はなく、右肺の呼吸音は聴取できたが、左肺の呼吸音は確認できず、左胸郭の上がりは不良だった。胸部打診では左右差がなかった。気管チューブの目盛りは門歯の位置で28cm。カプノグラフの波形は出現しており、SpO2は89%を示していた。

低酸素血症の原因として最も可能性が高いのはどれか。

気胸
片肺挿管
食道挿管
気管支けいれん
気管チューブ閉塞

解答: b

114B40の解説

気管挿管後、右肺の呼吸音は聴取されているが、左肺で呼吸音が確認できていない。成人男性の気管チューブは門歯の位置で20〜22cm程度が通常であるため、28cmは深すぎる。片肺挿管と考えられる。SpO2が89%と低値を示しているのは、片肺での換気がうまくいっていないことを示唆する。
a 気胸の場合、打診で鼓音をみる。
b 正しい。上記の通り。
c 食道挿管ではカプノグラフの波形が出現しない。
d 喘息発作でみられやすい。一般に両側性であるため、本症例のような左右差はみない。また、聴診で喘鳴を聴取する。
e 気管チューブが閉塞していたら、手動換気も困難になるはずである。

正答率:99%

テーマ:片肺挿管の診断

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