114A74

34歳の男性。心窩部痛を主訴に来院した。本日、オートバイ運転中に併走する乗用車と接触し転倒した。意識障害はなく、四肢の擦過傷と右膝関節の打撲以外に大きな外傷はなかった。転倒3時間後に心窩部痛を自覚し、徐々に増強するため妻に付き添われて受診した。意識は清明。体温37.2℃。脈拍104/分、整。血圧96/58mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。眼瞼結膜はやや貧血様だが眼球結膜に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は軽度膨隆し、腸雑音の減弱を認める。心窩部から右季肋下にかけての圧痛を認める。神経診察で異常を認めない。血液所見:赤血球327万、Hb 10.6g/dL、Ht 34%、白血球11,200、血小板16万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.7g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 142U/L、ALT 78U/L、LD 358U/L(基準120〜245)、γ-GT 57U/L(基準8〜50)、アミラーゼ154U/L(基準37〜160)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖97mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 100mEq/L。CRP 1.0mg/dL。

現時点で行うべき検査として適切なのはどれか。3つ選べ

胸部エックス線撮影
上部消化管造影検査
腹部超音波検査
腹部造影CT
下肢MRI

解答: a,c,d

114A74の解説

交通外傷。「腹部は軽度膨隆し、腸雑音の減弱を認める」「心窩部から右季肋下にかけての圧痛を認める」といった記載をヒントに損傷部位の評価に移る。
a 正しい。骨折や気胸、心拡大、free airが分かる。
b 交通外傷でやってきた救急外来の患者にまず行うことはない検査である。
c 正しい。FASTが有効。
d 正しい。腹部臓器を造影することにより、出血や損傷の程度を評価可能。
e 交通外傷でやってきた救急外来の患者にまず行うことはない検査である。

正答率:90%

テーマ:腹部外傷患者に現時点で行うべき検査

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