114A46

78歳の女性。異常行動を主訴に来院した。2年前から徐々に物忘れが目立つようになり、1年前に軽度認知機能障害〈MCI〉と診断された。日常生活に支障がないため経過観察されていた。1か月前、自宅で夫と昼食中に急に箸を落とした際に、夫が声をかけたが返事をせず、動作が止まって中空を見つめ、唾をコックンコックンと飲み込むような動作を繰り返していた。1分程してから突然立ち上がり、部屋の中を行ったり来たりするため、夫が制止しようとすると激しく抵抗した。30分程して徐々に会話が可能となり、普段通りの状態に戻ったが、本人はこの間のことを覚えていなかったという。このような異常行動が1週間に2、3回みられるため、心配した夫に付き添われて受診した。意識は清明。身長148cm、体重46kg。体温36.2℃。脈拍64/分、整。血圧116/68mmHg。呼吸数18/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール21点(30点満点)。脳神経に異常を認めない。腱反射は正常で運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。

考えられるのはどれか。

せん妄
常同運動症
複雑部分発作
一過性脳虚血発作
むずむず脚症候群

解答: c

114A46の解説

異常行動を指摘され来院した78歳女性。唾を飲み込む動作は自動症を示唆している。認知症を背景に自動症と意識障害を認める疾患は複雑部分発作〈側頭葉てんかん〉である。
a 意識障害や異常行動をみるも、自動症は認めない。
b 行動や姿勢、発声を反復する病態。意識障害は伴わない。
c 正しい。上記の通り。
d 神経系の異常がみられておらず、否定的。また一過性脳虚血発作〈TIA〉にて意識障害をみることは稀。
e 典型的な脚の症状が記載されておらず、考えにくい。

正答率:93%

テーマ:複雑部分発作〈側頭葉てんかん〉の診断

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