114A45

70歳の男性。息切れを主訴に来院した。最近、趣味のグラウンド・ゴルフをするときに息切れを自覚するようになり受診した。喫煙歴はない。心音はII音の固定性分裂を認め、胸骨左縁第2肋間に収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。下肢に浮腫を認めない。手指にチアノーゼ、ばち指を認めない。心電図は洞調律で不完全右脚ブロックを認める。胸部エックス線写真(A)及び心エコー図(B)を別に示す。その後心臓カテーテル検査を行った。

この患者の各部位の酸素飽和度(%)で正しいのはどれか。

(SVC:上大静脈、RA:右心房、RV:右心室、PA:肺動脈、LV:左心室)

SVC 70、RA 84、RV 83、PA 85、LV 98
SVC 70、RA 69、RV 83、PA 85、LV 98
SVC 70、RA 69、RV 69、PA 70、LV 98
SVC 70、RA 69、RV 69、PA 85、LV 98
SVC 70、RA 69、RV 69、PA 70、LV 89

解答: a

114A45の解説

息切れを主訴に来院した70歳男性。II音の固定性分裂という強烈なキーワードから心房中隔欠損症〈ASD〉を考える。左心房から右心房へのシャントにより右心系の血流が増え、相対的肺動脈弁狭窄症をきたしたため胸骨左縁第2肋間に収縮期雑音を聴取している。画像ではAにて右心系血流の増加により肺血管陰影の増大、左第2弓の突出を認める。また、心拡大を認める。Bのカラードプラーでは、プローベに向かってくる血流が赤く描出される。つまり、本症例では左心房から右心房、右心室への血流を認める。
a 正しい。左心房から右心房へ動脈血が流入しているので、右心房でO2 step upがみられる。
b 右心室でO2 step upを認めている。心室中隔欠損症の所見である。
c 左心室で酸素飽和度が増えており、正常所見である。
d 肺動脈でO2 step upを認めており、動脈管開存症の所見である。
e 左心室で酸素飽和度の上昇を認めるも89%と不十分である。右左シャントの存在やCOPD、肺塞栓など酸素交換が不十分である可能性を考える。

正答率:96%

テーマ:心房中隔欠損症〈ASD〉患者の各部位の酸素飽和度

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