113F8

新しい薬剤Aの有効性を検証するためにランダム化比較試験〈RCT〉を行った。事前に行った症例数計算から得られた数の症例に対し、薬剤A又は標準治療薬をランダムに割り付けた。投薬は二重盲検で行い、死亡をエンドポイントにした研究期間終了後、生存曲線をKaplan-Meier法で作成し、intention to treat〈ITT〉による生存解析を行った。

手法と目的の組合せで正しいのはどれか。

症例数計算 --------- 選択バイアスの防止
ランダム割付 --------- 再現性の向上
二重盲検 --------- 情報バイアスの防止
Kaplan-Meier法 --------- 交絡因子の補正
ITT --------- 外的妥当性の担保

解答: c

113F8の解説

a 症例数が不足すると偶然誤差が生じやすい。これを防止するのが症例数計算である。
b ランダム割付をすることにより、対比群間の均質性を向上させることができる(See 110B22)。より信頼性の高い結果が得られやすくなるわけで、再現性も必然的に向上するかもしれない。が、それはランダム割付の結果であり、目的ではない。
c 正しい。患者自身も、投薬する医療者自身も対象群かプラセボ〈偽薬〉群かわからないことを二重盲検と呼ぶ。「私は効くはずのない偽薬を飲んでいる」という患者側の情報や「この患者はすごく有効な新薬Aを飲んでるんだ!」といった医療者側の情報はときにバイアスを生む(情報バイアス)。二重盲検によりこれを防止することができる。
d Kaplan-Meier法は生存曲線の作成法であり、グラフの形に視覚化することで、時間の経過に伴うリスクの推移を読み取りやすくなる。交絡因子とは関係がない。
e 脱落者も含めて解析を行うのがITTだ。ランダム割付を維持することで、bと同様の効果が期待できる。むろんこの選択肢も因果関係を取り違えないことが肝要。より信頼性の高い結果が得られやすくなるわけで、外的妥当性も向上する。が、それは結果に過ぎないため、本選択肢は正解とならない。
※出題時、多くの受験生から「難しい!」と声があがった問題。しかし蓋を開けてみれば正答率は79%とかなり高めであった。体感の難しさと、答えを導き出す難しさとは異質のものであることを理解されたい。訳がわからないと思える問題でも、しっかりと結果を出す者はこれまでの長期に渡る勉強の成果から何となくではあっても正答を導く。逆に正答率がこれほど高い問題を誤答してしまった者は有意に不合格となりやすい。

正答率:79%

テーマ:統計手法と目的の組合せ

フォーラムへ投稿

関連トピック