113E29

70歳の男性。胸部異常陰影の精査のため入院した。かかりつけ医で撮られた胸部エックス線写真で、右肺に悪性腫瘍と考えられる腫瘤性病変を認めたため、精査目的で紹介されて入院した。2年前から歩き方が小刻みになり、しばしば転倒するようになったという。意識は清明。脈拍60/分、整。血圧126/78mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経診察では、両側性に振戦および筋強剛、動作緩慢を認めるが、姿勢反射は保たれておりHoehn & Yahrの分類はII度である。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは26点(30点満点)である。

入院時の転倒予防対策として適切なのはどれか。

昼間に睡眠薬を用いる。
ベッド上で身体拘束を行う。
病室のドアに外から鍵をかける。
ベッド周囲に離床センサーを設置する。
家族が終日付き添うことを入院の条件とする。

解答: d

113E29の解説

高齢男性の入院に伴う転倒予防対策。
a 睡眠薬はふらつきを惹起するため、むしろ転倒リスクが上昇する。また、夜間に眠れなくなり、せん妄等のリスクともなる。
b 予防対策に身体拘束は倫理的に好ましくない。禁忌。
c b同様やりすぎ。そもそも病室内で転倒する危険性もあるわけで、その場合むしろ発見が遅れてしまう。
d 正しい。ベッド周囲に離床センサーを設置することで、高齢者がベッドから離れて一人で歩いていってしまうことを予防することができる。また、転倒の早期発見にもつながる。
e 終日付き添うのはほとんどの家族にとって難しいだろう。それを「入院の条件とする」というのも酷だ。

正答率:99%

テーマ:入院時の転倒予防対策

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