113A63

40歳の初妊婦(1妊0産)。尿糖が陽性であったため、自宅近くの産科診療所から紹介され受診した。現在、妊娠30週。家族歴、既往歴に特記すべきことはない。身長160cm、体重62kg(妊娠前体重55kg)。体温36.7℃。脈拍88/分、整。血圧110/80mmHg。経口グルコース負荷試験〈75gOGTT〉:負荷前値:90mg/dL、1時間値:190mg/dL、2時間値:160mg/dL。HbA1c 5.4%(基準4.6~6.2)。

適切な対応はどれか。

対応は不要である。
食事は4~6分割食を推奨する。
食後2時間の血糖値150mg/dLを目標とする。
1日の摂取エネルギーを1,200kcalに制限する。
食事療法が無効な場合は経口血糖降下薬を用いる。

解答: b

113A63の解説

40歳の初妊婦の尿糖陽性。75gOGTTの結果では1時間値が180mg/dLを超え、かつ2時間値が153mg/dLを超えている。既往歴に特記すべきことがないため糖尿病合併妊娠は否定され、空腹時血糖とHbA1cに異常がみられないため明らかな糖尿病も否定され、妊娠糖尿病〈GDM〉の診断となる。
a GDMの診断がついた以上、対応は必要。
b 正しい。急激な血糖値上昇を防ぐため、食事は4〜6分割とこまめに摂取することが推奨される。
c 食後2時間の血糖値120mg/dLを目標とする。
d 『日本人の食事摂取基準(2015)』によれば、30〜49歳で身体活動レベルが最も低い女性の推定エネルギー必要量は1,750kcal/日。これだけでも本選択肢の値は全然足りないが、妊婦はさらに付加量があることにも注意。妊娠後期には450kcal/日を付加する。ゆえに合計2,200kcal/日の摂取が推奨される。
 ※『日本産科婦人科学会基準』で算出すると結果が異なる(いずれにせよ1,200kcal/日は少なすぎるから本選択肢は誤り)。なお、『日本人の食事摂取基準(2015)』の方が産婦人科以外の科目における応用性があるため、暗記するならばこちらを推奨する。
e 妊婦に経口血糖降下薬は禁忌。

正答率:55%

テーマ:妊娠糖尿病〈GDM〉への対応

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