113A20

64歳の男性。腹部膨満感を主訴に来院した。3か月前から、左腹部の膨満感を自覚し、改善しないため受診した。既往歴に特記すべきことはない。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。右肋骨弓下に肝を3cm触知する。左肋骨弓下に脾を3cm触知する。浮腫を認めない。血液所見:赤血球268万、Hb 7.9g/dL、Ht 26%、網赤血球1%、白血球7,300、血小板14万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.2g/dL、IgG 1,614mg/dL(基準960~1,960)、IgA 369mg/dL(基準110~410)、IgM 182mg/dL(基準65~350)、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 27U/L、ALT 26U/L、LD 477U/L(基準176~353)、ALP 283U/L(基準115~359)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、尿酸6.9mg/dL。骨髄組織のH-E染色標本(A)及び鍍銀染色標本(B)を別に示す。

この患者の末梢血に認められないのはどれか。

骨髄球
赤芽球
骨髄芽球
涙滴状赤血球
赤血球連銭形成

解答: e

113A20の解説

64歳男性の腹部膨満感。肝脾腫がみられ、これによる胃の圧迫が腹部膨満感の原因と考えられる。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音は決して大動脈弁狭窄症〈AS〉によるものではなく、貧血の代償だ。画像ではAで繊維組織の増生がみられ、これはBの鍍銀染色でより明確となる。原発性骨髄線維症〈PMF〉の診断。
a〜c 髄外造血が起こるため、骨髄球や赤芽球、骨髄芽球といった芽球が末梢血に出現する(白赤芽球症〈LEB〉)。
d 髄外造血が起こるため、涙滴状赤血球〈tear drop cell〉が末梢血に出現する。
e 誤り。赤血球連銭形成をみるのは多発性骨髄腫〈MM〉や原発性マクログロブリン血症である。

正答率:91%

テーマ:原発性骨髄線維症〈PMF〉の末梢血所見

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