112F81

次の文を読み、81〜83の問いに答えよ。

73歳の女性。右殿部から膝の痛みを主訴に来院した。

現病歴:60歳ごろから立ち上がる動作や長時間の立位や歩行をした際に右殿部から膝の痛みを自覚していた。2年前には右膝に右手を置いて歩行するようになったために自宅近くの整形外科診療所を受診し、エックス線写真で右股関節の変形を指摘されたが通院はしていなかった。3か月前から痛みが増悪して歩行がさらに困難になり、屋内の伝い歩きは可能なものの外出ができなくなったため受診した。

既往歴:18年前から高血圧症のため自宅近くの内科診療所で内服治療中。同診療所で、慢性の便秘症に対し整腸薬と睡眠障害に対する睡眠薬とを処方されている。また眼科診療所で、軽度の白内障に対して点眼薬の処方を受けている。2か月前からは、右殿部から膝の痛みに対して市販の湿布薬貼付と鎮痛薬の内服とを続けている。

生活歴:夫、長男夫婦および孫2人との6人暮らし。兼業農家で長男夫婦は共働き。孫は短大生と高校生。3か月前まで患者が家事の多くを担当していた。

家族歴:特記すべきことはない。

現 症:意識は清明。身長156cm、体重53kg。体温36.3℃。脈拍64/分、整。血圧130/72mmHg。呼吸数14/分。SpO2 98 % (room air)。頸部リンパ節を触知しない。胸腹部に異常を認めない。右殿部から膝の痛みのために立ち上がる際に介助が必要で、独歩は不能である。

検査所見(外来受診時):尿所見:蛋白(―)、糖(―)、ケトン体(―)、潜血(―)。血液所見:赤血球390万、Hb 12.0g/dL、Ht 38%、白血球5,800、血小板24万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.8g/dL、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 15U/L、ALT 17U/L、LD 220U/L(基準176〜353)、ALP 153U/L(基準115〜359)、γ-GTP 28U/L(基準8〜50)、アミラーゼ76U/L(基準37〜160)、CK 40U/L(基準30〜140)、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖84mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 109mEq/L。CRP 0.2mg/dL。

右殿部から膝の痛みの原因の鑑別に有用でない身体診察はどれか。

肋骨脊柱角の叩打
股関節の可動域
鼠径部の触診
大腿部の触診
膝関節の触診

解答: a

112F81の解説

高齢女性の右殿部〜膝の痛み。現病歴において右股関節の変形を指摘された既往が示してあり、変形性関節症を考える。
a 誤り。尿路結石や腎盂腎炎にて叩打痛が陽性となる。変形性関節症の診察ではない。
b〜e 患部周辺の関節評価や廃用性筋萎縮の評価に有用な身体診察である。

正答率:93%

テーマ:【長文1/3】右殿部から膝の痛みの原因の鑑別に有用な身体診察

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