112F60

38歳の男性。生来健康であったが、2週間前から黄疸と右季肋部痛が出現したため来院した。喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。20歳から印刷工場で印刷作業に従事している。腹部超音波検査を施行したところ、肝門部に腫瘤が認められた。

診断のために聴取すべきなのはどれか。

職場の分煙状況
最近5年間の健診受診の状況
最近3か月の時間外勤務の状況
作業時の防塵マスクの使用状況
過去に作業で使用した有機溶剤の種類

解答: e

112F60の解説

壮年男性の黄疸と右季肋部痛。「印刷工場で印刷作業」というキーワードを知っていれば有利な展開となる。つまり、この職歴は職業性胆管癌のリスクとなるのだ。むろん、これを知らなくても腹部超音波検査の所見から肝門部の悪性腫瘍なのではあるまいか、と疑っていくことは十分に可能だ。
a 本人に喫煙歴はない。副流煙のことを言っているのであろうか? 「診断のため」と聞かれている以上、分煙状況を聴取しても意味はない。
b 「生来健康」という記載からは、2週以上前にはほぼ症状がなかったように読み取れる。これまでの健診受診の状況を聞いても無意味に思える。
c 過重労働にて癌が発生するわけではない。
d 防塵マスクをつけていたら癌ではなく、つけていなかったら癌? ......そんなことは言えまい。「診断のため」と聞かれている以上、防塵マスクの使用状況を聴取しても意味はない。
e 正しい。職業性胆管癌の原因として有機溶剤であるジクロロプロパンやジクロロメタンが言われている。これらの使用が確認されれば職業性胆管癌の診断に極めて近づくこととなる(むろん、この情報だけで確定診断とはならないが、選択肢の中では一番診断に直結する)。

正答率:86%

テーマ:職業性胆管癌の診断のために聴取すべきこと

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