112F56

28歳の女性。発熱、手指の関節痛および皮疹を主訴に来院した。2か月前から両手指の関節痛を自覚し、2週間前から頰部に円板状の皮疹が出現するようになったため受診した。体温38.3℃。脈拍84/分、整。血圧120/80mmHg。呼吸数18/分。両手関節の腫脹と圧痛とを認める。尿所見:蛋白(―)、潜血(―)。血液所見:Hb 11.1g/dL、白血球3,000(好中球70%、単球4%、リンパ球26%)、血小板11万。血液生化学所見:尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.2mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗核抗体1,280倍(基準20以下)、抗dsDNA抗体84IU/mL(基準12以下)、CH50 12U/mL(基準30〜40)、C3 33mg/dL(基準52〜112)、C4 7mg/dL(基準16〜51)。

この患者に対する説明として適切なのはどれか。

「関節が変形する可能性が高いです」
「病状が安定するまで妊娠は避けてください」
「メトトレキサートというお薬を初めに使います」
「今後インフルエンザワクチンの接種は避けてください」
「皮疹を良くするためにできるだけ日光浴をしてください」

解答: b

112F56の解説

若年女性の発熱と関節痛。頬部の円板状皮疹、汎血球減少、抗核抗体陽性、抗dsDNA抗体陽性、低補体血症、といった情報より全身性エリテマトーデス〈SLE〉を考える。
a 関節炎や関節痛はみるも、関節リウマチのような関節変形まではきたしにくい。
b 正しい。SLE患者でも妊娠・出産はもちろん可能だ。だが、現在のような炎症症状が強い状況下では妊娠を避けるのが吉であろう。
c メトトレキサートは関節リウマチの治療薬。SLEで第一選択となるのは副腎皮質ステロイド薬である。
d 特にインフルエンザワクチン接種を回避する理由はない。
e 光線過敏を特徴とする疾患であるため、日光浴は禁忌。

正答率:96%

テーマ:全身性エリテマトーデス〈SLE〉患者への説明

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