112F54

54歳の男性。吐血を主訴に来院した。3日前から黒色便であったがそのままにしていたところ、今朝コップ1杯程度の吐血があったため救急外来を受診した。意識は清明。体温36.4℃。脈拍124/分、整。血圧86/60mmHg。呼吸数20/分。皮膚は湿潤している。四肢に冷感と蒼白とを認める。眼瞼結膜は軽度貧血様であるが、眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦で、心窩部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。まず急速輸液を開始し、脈拍96/分、血圧104/68mmHgとなった。

次に行うべきなのはどれか。

輸血
血管造影
開腹手術
上部消化管内視鏡
プロトンポンプ阻害薬静注

解答: d

112F54の解説

中年男性の吐血。黒色便がみられており、おそらくは上部消化管由来であろう。消化管出血による循環血液量減少性ショックである。輸液をしてバイタルが安定した後にすべきことは......?
a 血圧が維持されており、現時点で輸血は必要なさそうだ。むろん厳密にはHbの値等をみて最終判断したいところであるが、本問では他によりよい選択肢があるため、aは選ばない。
b 現時点では上部消化管からの出血が疑わしい、と分かっているだけである。この状況で原因血管を血管造影にて探しに行くのは、森のなかに落とした小枝を探しに行くようなもので無謀といえる。
c バイタルは安定しており、今すぐの開腹は必要なさそうだ。
d 正しい。上部消化管内視鏡により出血源の検索を行いたい。
e 胃潰瘍などの治療薬ではあるも、現在活動性出血があるため、これでは不十分(止血できない)。

正答率:99%

テーマ:消化管出血疑いの患者に行うべきこと

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