112D20

33歳の男性。右の下腹部から側腹部にかけての激しい痛みを主訴に来院した。2日前、仕事中に右背部に軽度の痛みが出現したが、約30分で軽快した。本日午前7時ごろ、右の下腹部から側腹部にかけての激しい痛みが突然出現したため受診した。来院の途中に嘔吐があった。意識は清明。体温36.4℃。血圧118/74mmHg。顔色は蒼白で冷汗を認める。腹部は平坦で、圧痛を認めない。右の肋骨脊柱角に叩打痛を認める。尿所見:蛋白(―)、糖(―)、潜血3+、沈渣に赤血球100以上/1視野、正八面体の結晶を認める。血液所見:赤血球458万、Hb 14.0g/dL、Ht 45%、白血球9,300、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、アルブミン3.7g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 35U/L、ALT 32U/L、LD 179U/L(基準176〜353)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL、尿酸6.9mg/dL、血糖98mg/dL、Na 132mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 97mEq/L、Ca 9.1mg/dL。

非ステロイド性抗炎症薬が投与され疼痛は軽減した。その後に撮影した腹部CT(A、B)を別に示す。

この患者に対する説明で正しいのはどれか。

水分摂取を勧める。
手術治療が必要である。
ビタミンCの摂取を勧める。
尿酸排泄促進薬が有効である。
カルシウムの摂取制限を勧める。

解答: a

112D20の解説

壮年男性の腹痛。痛みは下腹部から側腹部と広がりがあり、かつ突発。肋骨脊柱角の叩打痛もあり、尿路結石を疑う。画像ではAにて右水腎症が、Bにて右尿管の結石が、それぞれ指摘できる。沈渣にて正八面体の結晶が確認されており、シュウ酸カルシウム結石と考えられる。右尿管結石による右水腎症の診断。
a 正しい。尿路結石患者に対する指導として適正。
b 結石は小さく、現時点で手術が必要とは思えない。
c ビタミンCは尿中シュウ酸値を上昇させる作用がある。そのため、むしろ病態が増悪する。
d c同様に、尿酸排泄を促進したらむしろ結石を形成しやすくなり、病態は悪化する。
e カルシウムを摂取することでむしろシュウ酸が便中へ捨てられやすくなる。ゆえに制限するのは逆効果。

正答率:97%

テーマ:尿管結石患者への説明

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