112C35

82歳の女性。悪心と骨盤の痛みとを主訴に来院した。2年前に骨病変を伴う多発性骨髄腫と診断された。抗癌化学療法とビスホスホネート製剤の投与とを受けていたが治療抵抗性となり、3か月前に抗癌化学療法は中止した。その後、多発性骨髄腫による骨盤の痛みが生じたため、局所放射線照射を行ったが除痛効果は一時的であり、モルヒネの内服を開始した。当初、痛みは良好にコントロールされていたが、徐々にモルヒネの効果が乏しくなったため、段階的に増量した。数日前から痛みに加え、食欲不振と悪心が強くなり受診した。血液検査で電解質に異常を認めない。腹部エックス線写真でイレウス所見を認めない。

対応として適切なのはどれか。

モルヒネを増量する。
抗癌化学療法を再開する。
モルヒネをアスピリンに変更する。
ビスホスホネート製剤を増量する。
モルヒネを他のオピオイドに変更する。

解答: e

112C35の解説

高齢女性の治療抵抗性な多発性骨髄腫〈MM〉。現在はモルヒネを徐々に増量している状況だが、食欲不振と悪心(副作用)が強くなり、モルヒネ増量の限界を向かえているようだ。
a 上記の通り、増量は限界を向かえている。
b・d 治療抵抗性であり、いまさら再開・増量する意義は乏しい。
c アスピリンは非ステロイド性抗炎症薬〈NSAID〉であり、鎮痛に寄与する度合いはモルヒネより一般に低い。「併用」という表記であればまだしも、「変更」により疼痛コントロールができるとは思えない。
e 正しい。他の種類のオピオイドであればまだ粘れる可能性がある。この考え方をオピオイドスイッチング〈オピオイドローテーション〉と呼ぶ。

正答率:87%

テーマ:治療抵抗性の多発性骨髄腫〈MM〉への疼痛管理

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