111I69

76歳の男性。繰り返す数秒間の意識消失のため救急車で搬入された。昨日の夕方に一過性の意識消失を自覚した。今朝から30分に1回程度の間隔で数秒間の意識消失を繰り返すため、家族が救急車を要請した。動悸を自覚するのとほぼ同時に意識消失するという。10年前から高血圧症、うつ病、胃潰瘍および便秘症のためサイアサイド系降圧利尿薬、カルシウム拮抗薬、四環系抗うつ薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬、甘草を含む漢方薬および刺激性の下剤を内服している。モニター心電図で意識消失に一致する10秒程度の多形性心室頻拍を認め、このときは脈拍を触知しない。12誘導心電図を別に示す。

治療方針の決定のため、まず行うべき検査はどれか。

脳波
頭部CT
起立試験
血糖測定
血清カリウム測定

解答: e

111I69の解説

「高齢者とクスリ」の典型問題。さて、本症例の原因となっている薬剤はどれだろうか。主訴は意識消失。モニター心電図では意識消失に一致する多形性心室頻拍を認めており、提示されている心電図ではQT延長が指摘できる。薬剤性のQT延長症候群と考えられる。原因としては、サイアザイドと甘草(→偽性アルドステロン症)、下剤による低カリウム血症が疑われる。また三環系抗うつ薬の使用もQT延長症候群をきたしやすいことが知られている。
a てんかん発作を考えた際に施行する。
b 頭蓋内病変による意識消失を考えた際に施行する。
c 起立性低血圧を考えた際に施行する。
d 低血糖による意識消失を考えた際に施行する。
e 正しい。低カリウム血症をみる可能性が高い。

正答率:93%

テーマ:薬剤性QT延長症候群の検査

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