111H25

70歳の男性。息苦しさを主訴に来院した。1か月前から農作業の途中で息切れを自覚するようになり、1週間前から就寝中に息苦しさで目が覚め、しばらく座っていると呼吸が楽になることが何度かあった。2日前から就寝中の息苦しさが増悪するため受診した。意識は清明。体温36.5℃。脈拍88/分、整。血圧112/90mmHg。呼吸数24/分。SpO2 94%(room air)。頸静脈の怒張を認めない。胸部の聴診でII音の奇異性分裂、III音およびIV音を認め、胸骨右縁第2肋間を最強点とするIV/VIの収縮期駆出性雑音を聴取し、頸部への放散を認める。両側の下胸部に吸気時のcoarse cracklesを聴取する。下腿に軽度の浮腫を認める。

この患者で予想される所見はどれか。

脈圧の開大
大腿静脈の怒張
脈波伝達速度の亢進
頸動脈波の鈍い立ち上がり
足関節上腕血圧比〈ABI〉の低下

解答: d

111H25の解説

夜間の息苦しさを主訴に来院した70歳男性。起座呼吸や低酸素血症、軽度の下腿浮腫を認め、心不全を考える。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出音を聴取し、それが頸部へ放散していることから大動脈弁狭窄症〈AS〉を考える。
a 脈圧が開大するのは大動脈弁閉鎖不全症〈AR〉である。
b 大腿静脈の怒張は深部静脈血栓症でみられる。
c 脈波伝達速度は動脈硬化の指標である。AS患者に動脈硬化を伴っている可能性はあるが、一般にASの検査として脈波伝達速度は確認しない。
d 正しい。本選択肢は遅脈に言及している。
e ABIの低下は閉塞性動脈硬化症〈ASO〉など下肢動脈閉塞症でみられる。

正答率:81%

テーマ:大動脈弁狭窄症〈AS〉の所見

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