111E59

48歳の男性。激しい背部痛と胸部絞扼感で来院した。5年前から、健康診断で高血圧と脂質異常とを指摘されていたが、医療機関を受診していなかった。本日、午前6時ごろに突然、激しい背部痛が出現し様子をみていたが、胸部絞扼感も出現してきたため、家族の運転する車で来院した。意識は清明。体温36.8℃。心拍数120/分、不整。右上肢血圧148/72mmHg、左上肢血圧194/112mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。顔面は苦悶様で発汗が著明。12誘導心電図でII、III、aVFのST上昇、V4-6のST低下および心室性期外収縮の頻発を認めた。

可能性の高い疾患はどれか。2つ選べ

高安動脈炎
急性心膜炎
急性心筋梗塞
急性大動脈解離
急性肺血栓塞栓症

解答: c,d

111E59の解説

背部の激痛と胸部絞扼感を主訴に来院した48歳男性。未治療の高血圧症と脂質異常症とを有する。血圧の左右差と心電図変化から、Stanford A型の大動脈解離とそれに合併した急性心筋梗塞〈AMI〉と考える。典型例である。
a 高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉は若い女性にみられ、血管の閉塞・狭窄により多彩な症状がみられる。例えば脈が触れない、血管雑音等である。血圧の左右差は見られてもよいが、突然の背部痛や心電図変化は認めない。
b 急性心膜炎であれば先行する感冒症状の後に広範なST上昇と深呼吸時の胸痛増悪がみられる。
c・d 正しい。上記の通り。
e 肺血栓塞栓症であればSpO2の低下がみられる。また、血圧の左右差はみられず心電図変化も右心負荷を表す所見はあってもST上昇は認めない。

正答率:95%

テーマ:急性大動脈解離と急性心筋梗塞〈AMI〉の診断

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