111D53

72歳の男性。頻尿と尿勢低下とを主訴に来院した。1年前から頻尿を自覚していたが、2か月前からは排尿に時間がかかるようになっている。直腸指診で前立腺は小鶏卵大、表面平滑、弾性硬で硬結を認めない。尿所見に異常を認めない。PSA1.8ng/mL(基準4.0以下)。排尿日誌で1回排尿量180〜250mL、昼間排尿回数10回、夜間排尿回数2回。国際前立腺症状スコア18点(軽症0〜7、中等症8〜19、重症20〜35)。QOLスコア5点(軽症0〜1、中等症2〜4、重症5〜6)。尿流測定の結果(A)を別に示す。腹部超音波検査で残尿量は120mLである。経直腸超音波像(B)を別に示す。推定前立腺体積は35mLである。

治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ

α1遮断薬
副腎皮質ステロイド
ヒスタミンH2受容体拮抗薬
アンジオテンシンII受容体拮抗薬
PDE5〈phosphodiesterase5〉阻害薬

解答: a,e

111D53の解説

高齢男性の頻尿と尿勢低下。Aでは尿の流出開始の遅延、最大流速の低下、持続時間の延長がみられる。前立腺は小鶏卵大でBでも腫大がみられる。排尿日誌からは1回排尿量の微減、昼間・夜間頻尿をみる。国際前立腺症状スコアでは中等症、QOLスコアでは重症。残尿と前立腺体積も多く、前立腺肥大症〈BPH〉の診断となる。
a 正しい。従来からの第一選択薬である。
b・d BPHの治療薬ではない。
c 抗コリン作用をもつため、尿閉が増悪する。禁忌。
e 正しい。平滑筋の弛緩作用をもち、尿閉が軽減する。

正答率:86%

テーマ:前立腺肥大症〈BPH〉の治療薬

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