111D30

4か月の乳児。嘔吐、血便および活気不良のため母親に連れられて来院した。2日前の朝から便がゆるく哺乳不良であった。昨日の朝に自宅近くの診療所を受診し安静を指示されていた。今朝から嘔吐が続き顔色も悪く、ぐったりして血便がみられたため夕刻に受診した。呼びかけには眼を開けるが、すぐに閉じてしまう。体温37.8℃。脈拍160/分(微弱)、整。血圧70/50mmHg。呼吸数40/分で浅い。SpO2 96%(マスク2L/分酸素投与下)。毛細血管再充満時間3秒と延長している。栄養状態は良好。顔面は蒼白。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨満し、筋性防御を認める。血液所見:赤血球426万、Hb 12.3g/dL、Ht 35%、白血球16,000(桿状核好中球17%、分葉核好中球53%、好酸球1%、好塩基球0%、単球6%、リンパ球23%)、血小板17万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.6g/dL、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、Na 135mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 98mEq/L。CRP 10mg/dL。急速輸液を開始した。腹部超音波像を別に示す。

次に行う治療はどれか。

浣腸
緊急手術
昇圧薬投与
利尿薬投与
非観血的整復

解答: b

111D30の解説

4か月児の血便。毛細血管再充満時間の延長があり、循環が滞っていることを意味する。腹部は膨満しており、筋性防御があることから腹膜炎の存在が考えられる。画像ではtarget signがみられ、腸重積症の診断。
a すでに血便はみられており、これを証明するための浣腸は不要。整復を兼ねての浣腸と解釈できないこともないが、だとすればeと同義でセット切りとなる。
b 正しい。腹膜炎に至っており、緊急手術の適応となる。
c 嘔吐や腸閉塞による脱水が原因となって血圧が低下しているため、昇圧薬は効果に乏しい。
d 脱水を増悪させ、血圧が低下してしまう。
e 腹膜炎に至っており、非観血的整復では対応しきれない。

正答率:60%

テーマ:腸重積の治療

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