111B53

次の文を読み、53〜55の問いに答えよ。

58歳の男性。筋力低下と嚥下困難とを主訴に来院した。

現病歴:1か月前から階段を昇るときに手すりが必要になった。1週間前から固形物を飲み込むのが難しくなり、昨日、洋式トイレで妻の助けがないと立ち上がることができなかったため受診した。

既往歴:10年前から高血圧症で内服治療中。

家族歴:特記すべきことはない。

現 症:意識は清明。身長176cm、体重65kg。体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧138/76mmHg。呼吸数12/分。SpO2 98%(room air)。両肘頭に軽度の紅斑を認める。胸腹部に異常を認めない。表在リンパ節を触知しない。四肢近位筋に左右対称性の把握痛と徒手筋力テストで3〜4の筋力低下とを認める。感覚障害と小脳性運動失調とを認めない。

検査所見:血液所見:赤血球504万、Hb 15.8g/dL、Ht 45%、白血球7,700、血小板35万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、アルブミン3.3g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 96U/L、ALT 112U/L、CK 2,380U/L(基準30〜140)、Na 139mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 108mEq/L。胸腹部CTに異常を認めない。右大腿部MRIのT1強調像(A)とT2強調像(B)とを別に示す。

この患者でみられる症状はどれか。2つ選べ

物が二重に見える。
つま先立ちができない。
仰臥位で頭が持ち上がらない。
電車の網棚に荷物が載せられない。
睡眠を十分にとると筋力が正常化する。

解答: c,d

111B53の解説

MRIではT2強調像で筋内の高信号がみられ、筋炎が示唆される。筋力低下、嚥下困難、Gottron徴候、CK高値、といった情報から皮膚筋炎〈DM〉を疑う。
a 複視はFisher症候群や重症筋無力症〈MG〉といった神経性疾患でみられやすい。
b つま先立ち困難は遠位筋障害、すなわち下位運動ニューロン疾患でみられやすい。
c 正しい。DMでは近位筋が主に障害され、仰臥位での頭部挙上が困難となる。
d 正しい。cと同じ理由で、上肢の近位筋も筋力低下する。
e MGで特徴的な所見である。

正答率:60%

テーマ:【長文1/3】皮膚筋炎〈DM〉の症状

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし