110I56

7歳の男児。腹痛、頻回の嘔吐および全身倦怠感を主訴に母親に連れられて来院した。この数日間、運動会の練習があり易疲労感を訴えていた。昨夜はほとんど食事をとらずに就寝した。今朝から腹痛と頻回の嘔吐とが出現し、徐々に元気がなくなり、表情に乏しく歩行もできなくなったため受診した。5歳ころから今回と同様の経過を数回繰り返している。身長122cm、体重18kg。体温36.4℃。脈拍92/分、整。顔面は蒼白。咽頭に発赤を認めない。呼気に酸臭を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。皮膚のツルゴールは低下している。
検査で高値を示すのはどれか。
血糖
血清Na
血清Ca
尿ケトン体
血清総ビリルビン

解答: d

110I56の解説

「運動会の練習」というストレスのかかる環境下で、腹痛と頻回の嘔吐および全身倦怠感を訴えている。呼気に酸臭を認めることから、ケトン体が血中で増加している可能性が高い。脱水所見もあり、アセトン血性嘔吐症〈周期性嘔吐症〉を考える。
a 昨夜はほとんど食事をとらずに就寝しており、今朝から頻回に嘔吐している。血糖値は低値を示すはずだ。
b 皮膚ツルゴールが低下しているため、細胞外液メインの低下が考えやすい。このため低張性脱水を疑う。よってNaは低下している可能性はあっても、高値とはならない。
c 本病態で血清Caは変化しない。
d 正しい。血中で増加したケトン体は尿中にも排泄される。
e 溶血や黄疸を呈する病態ではないため、血清総ビリルビンも変化しない。

正答率:94%

テーマ:アセトン血性嘔吐症〈周期性嘔吐症〉で高値を示す検査項目

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