110H33

次の文を読み、33、34の問いに答えよ。
71歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。
現病歴:1週前から朝の目覚めが悪く、散歩中に気分が悪くて座りこむことが多くなった。階段を上がる際に息切れを自覚するようになり、心配になったため受診した。2週前から便が黒かったという。以前から通院中の内科で3週前に行った検査結果を持参している。
既往歴:高血圧症と心房細動のため、前述の内科に通院中である。1か月前に右膝を痛め、自宅近くの診療所で処方された鎮痛薬を服用している。
生活歴:6年前に会社を退職して、妻、長男夫婦および小学生の孫と同居している。喫煙は45歳まで15本/日を25年間。飲酒は機会飲酒。
検査所見(持参したもの):血液所見:赤血球343万、Hb 10.6g/dL、Ht 33%、白血球7,300、血小板10万、PT-INR 1.9(基準0.9〜1.1)、APTT 38.4秒(基準対照32.2)。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン1.2mg/dL、直接ビリルビン0.3mg/dL、AST 33U/L、ALT 26U/L、LD 256U/L(基準176〜353)、尿素窒素15mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖98mg/dL、Na 131mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。
現症:意識は清明。身長173㎝、体重78kg。体温36.2℃。脈拍96/分、不整。血圧148/78mmHg。呼吸数20/分。SpO2 97%(room air)。皮膚は乾燥している。眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。眼振を認めない。口腔内と咽頭とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。四肢の筋力は保たれており、起立と歩行とに異常を認めない。腱反射に異常を認めない。
診断のために再度確認すべきなのはどれか。
食物アレルギー歴
感染性疾患の有無
2週間以内の海外渡航
医療機関での処方内容
家庭でのストレスの程度

解答: d

110H33の解説

消化管出血に関する超典型問題。現病歴3文目にある「便が黒かった」という記載が目に留まれば、ゴールまで一直線である。なお、PT-INRが1.9と延長していることは確認しておこう。高血圧症と心房細動で通院中ということなので、ワルファリン等の抗凝固薬内服により、易出血性となっている可能性が示唆される。
a〜c アレルギー性疾患でも、感染性疾患でも、輸入感染症でもない。
d 正しい。右膝の痛みに対して鎮痛薬を内服しているという記載から、非ステロイド性抗炎症薬〈NSAID〉ではないか、また、上述の抗凝固薬を内服しているのではないかといった処方内容を確認することは極めて重要である。
e ストレス性の消化性潰瘍もありうるが、既往歴に消化性潰瘍を反復している旨の記載もないため、71歳になって突如ストレスが出現することは考えにくい。

正答率:97%

テーマ:【長文1/2】上部消化管出血で確認すべき事項

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