110G47

85歳の男性。舌の痛みと息切れとを主訴に来院した。半年前から舌の痛みがあり、2か月前からは労作時の息切れを自覚するようになった。食欲は減退し、時々悪心を感じることがあるが、食事は少しずつ摂取できている。下痢や便秘はない。75歳で胃癌のため胃全摘術を受けている。意識は清明。身長162cm、体重54kg。体温36.2℃。脈拍80/分、整。血圧110/60mmHg。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜は軽度貧血様である。舌は淡紅色で表面は滑らかである。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で正中に手術痕があり、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。
この患者で疑うべきなのはどれか。
腎不全
低Ca血症
鉄欠乏性貧血
巨赤芽球性貧血
微量元素欠乏症

解答: d

110G47の解説

胃全摘後10年して発症した舌の痛み(→Hunter舌炎)と息切れ(→貧血)。ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血を考える。赤血球数とHt値の記載があればより判断がしやすいも、そこは敢えて記載せず難易度調整をしていると思われた。
a 腎不全単独で舌炎は出現しない。
b 低Ca血症単独で貧血は出現しない。
c 胃全摘後数年で発症する。また、鉄欠乏性貧血で舌炎がみられるケースでは口角炎や嚥下障害も合併することが多い(Plummer-Vinson症候群)。100%鉄欠乏性貧血を否定できる根拠はないが、少なくともこれだけの情報が揃っており、なおかつdという選択肢がある以上、あえて鉄欠乏性貧血に勝負をかける必要性はない。
d 正しい。上記の通り。
e ここでいう「微量元素」とは亜鉛などを指すのであろう。味覚障害を合併することはあっても単独で貧血や舌炎はみない。

正答率:69%

テーマ:巨赤芽球性貧血によるHunter舌炎

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