110D56

65歳の男性。健康診断で赤血球増加を指摘され来院した。3年前に下肢深部静脈血栓症の既往がある。意識は清明。顔面と口腔粘膜が紅潮している。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝を右肋骨弓下に1cm触知し、脾を左肋骨弓下に4cm触知する。脈拍88/分、整。血圧170/100mmHg。血液所見:赤血球760万、Hb 20.1g/dL、Ht 54%、白血球7,100(骨髄球1%、後骨髄球1%、桿状核好中球2%、分葉核好中球69%、好酸球1%、単球9%、リンパ球17%)、血小板39万。エリスロポエチン3mIU/mL(基準8〜36)。骨髄生検で赤芽球、顆粒球および巨核球の3血球系統の過形成を認める。骨髄細胞染色体分析で異常を認めない。JAK2遺伝子変異を認める。
対応として適切なのはどれか。2つ選べ
瀉血
イマチニブ投与
ボルテゾミブ投与
多剤併用抗癌化学療法
低用量アスピリン投与

解答: a,e

110D56の解説

「顔面と口腔粘膜の紅潮」から赤血球増加性を考える。エリスロポエチンがフィードバックにより低下し、骨髄内に3血球系統の過形成があることから真性赤血球増加症〈PV〉の診断。JAK2遺伝子変異もみられている(ほか、原発性骨髄線維症〈PMF〉と本態性血小板血症〈ET〉でもみられる)。
a 正しい。瀉(しゃ)血により、血液を減らす。
b 慢性骨髄性白血病〈CML〉等に有効。
c 多発性骨髄腫〈MM〉等に有効。
d PVにも抗癌化学療法は有効であるが、原則はハイドロキシウレアやJAK阻害薬(ルキソリチニブ)を単剤で投与する。
e 正しい。血栓症の既往があり、リスク分類は高リスク群である。予防のために抗血小板薬の内服を行う。

正答率:88%

テーマ:真性赤血球増加症〈PV〉(真性多血症)の治療

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