110D55

33歳の男性。増殖前糖尿病網膜症の治療を目的とし紹介されて来院した。10年前から健康診断で尿糖陽性を指摘されていたが自覚症状がないためそのままにしていた。最近、視力低下を自覚したため自宅近くの眼科を受診した。増殖前糖尿病網膜症と診断され、紹介されて受診した。父親が糖尿病で治療中である。身長172cm、体重64kg。脈拍88/分、整。血圧176/92mmHg。尿所見:蛋白4+、糖3+。血液生化学所見:総蛋白6.5g/dL、アルブミン3.8g/dL、クレアチニン1.8mg/dL、空腹時血糖176mg/dL、HbA1c 8.5%(基準4.6〜6.2)。
眼科的治療を開始するとともに行うべきなのはどれか。2つ選べ
積極的な運動療法を勧める。
ビグアナイド薬を投与する。
塩分の摂取制限を指導する。
蛋白質の積極的な摂取を勧める。
少量のインスリンの分割投与を開始する。

解答: c,e

110D55の解説

増殖前糖尿病網膜症がみられる比較的若い男性。空腹時血糖、HbA1cをみるにコントロールは悪そうだ。ポイントはクレアチニン1.8mg/dLと腎障害が存在する点。腎排泄である経口血糖降下薬は使用できない。
a 糖尿病網膜症の存在下で運動療法は推奨されない。
b 腎排泄である経口血糖降下薬は使用できない。
c 正しい。血圧は高値であり、塩分制限は指導すべきである。
d 腎障害があり、蛋白は制限したい。
e 正しい。コントロールも悪く、インスリン導入が有効。

正答率:66%

テーマ:網膜症を合併した糖尿病の治療

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