110D24

52歳の男性。咽頭痛と嚥下困難とを主訴に来院した。咽頭所見(A)、頭部造影MRIのT1強調水平断像(B)及び生検組織のH-E染色標本(C)を別に示す。生検組織の免疫組織化学染色標本で、ヒトパピローマウイルスの持続感染を示唆するp16蛋白が強陽性であった。口腔粘膜擦過検体のPCR検査でもヒトパピローマウイルスが検出された。
適切な対応はどれか。
経過観察
抗菌薬投与
扁桃摘出術
放射線化学療法
抗ウイルス薬投与

解答: d

110D24の解説

画像Aでは右口蓋扁桃部に腫瘍が、画像Bでは同部位の腫瘤影と右頸部のリンパ節転移がみられる。画像Cにて巣状の構造がみられ、本文中の記載と合わせヒトパピローマウイルスによる中咽頭癌の診断となる。
a 悪性腫瘍であり、経過観察はできない。
b 細菌感染に対する治療である。
c 難治性扁桃炎やアデノイド増殖症など良性疾患に対する対応である。
d 正しい。耳鼻咽喉科領域の腫瘍には放射線療法が有効なことが多い。これに化学療法を追加して治療にあたる。
e ヒトパピローマウイルスが原因ではあるも、すでに腫瘍化しており、抗ウイルス薬でがん治療することはできない。

正答率:53%

テーマ:ヒトパピローマウイルス陽性の中咽頭癌の対応

フォーラムへ投稿

関連トピック