110B42

34歳の男性。統合失調症で入院中である。3年前に統合失調症と診断され、父親の同意によって医療保護入院となった。精神症状は難治であるが、本人には統合失調症についての病識がなく精神科治療を受ける考えもないため、医療保護入院が続いている。2週前に肺癌で手術が必要と診断された。本人に伝えると「手術しないといけないのはわかるが手術は怖い。このまま癌で死んでもかまわない」と手術を拒否した。一方、父親は手術を希望した。
現時点での対応として適切なのはどれか。
抗精神病薬を増量する。
本人の意向を無視して手術を行う。
手術をあきらめるように父親を説得する。
患者の同意を得るための努力をさらに続ける。
地域の精神保健福祉センターに判断を求める。

解答: d

110B42の解説

統合失調症で入院中に肺癌が見つかった34歳の男性。精神科の出題、というよりは医師としての倫理観を必修的な観点から問う問題である。
a 何の解決にもならない。
b・c 父親側、患者側、にそれぞれ偏った対応であり不適切。容易に解決策が用意できる状況ではない。
d 正しい。最も無難な選択肢である。
e 癌の手術適応の判断について精神保健福祉センターが医師を凌駕することはない。
※eを選んだ受験生が一定割合いるが、現実的に解決策が用意できるような状況ではない以上、「判断を求める」といった選択肢が正解になるはずがなかろう。必修にありがちな「無難にお茶を濁す」選択肢を選んでおけばよい。

正答率:63%

テーマ:手術を拒否する統合失調症患者への対応

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