110A58

35歳の男性。2週前からの悪寒、発熱および下痢を主訴に来院した。6か月前と2か月前に自宅近くの診療所で発熱を伴う気管支炎に対し抗菌薬投与を受け、1週程度で軽快していた。体重が6か月で10kg減少している。意識は清明。身長168cm、体重50kg。皮膚、口唇および口腔粘膜は乾燥し、舌と口腔粘膜とに白苔を広汎に認める。腹部は平坦で、全体に軽度の圧痛を認めるが、筋性防御は認めない。血液所見:赤血球560万、Hb 16.0g/dL、Ht 48%、白血球12,200(好中球77%、好酸球5%、好塩基球1%、単球12%、リンパ球5%)、血小板34万。CRP 12mg/dL。
初期の対応として適切なのはどれか。3つ選べ
輸液
抗菌薬投与
抗真菌薬投与
抗HIV薬投与
無菌室への入室

解答: a,b,c

110A58の解説

若い男性が繰り返し感染症に罹患している。口腔カンジダの存在やリンパ球数の低下などよりAIDSが疑われる。
a 正しい。脱水があるため、輸液は適切な対応である。
b 正しい。好中球とCRPの上昇があり、細菌感染が考えられる。
c 正しい。口腔カンジダがあるため、抗真菌薬は有効である。
d HIVの診断がついていないため、早計な対応である。
e 有効か無効か、と言われれば有効な対処ではあるも、現実的ではなく、実臨床の場でAIDS疑いの患者すべてを無菌室へ入室されるという対応は行われていない。
105A59と同一問題。

正答率:71%

テーマ:後天性免疫不全症候群〈AIDS〉疑い患者への初期対応

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