110A44

32歳の初妊婦。甲状腺機能の検査を希望して来院した。妊娠10週ころから動悸を感じ、妊娠12週で甲状腺機能異常を認めたため紹介されて受診した。甲状腺はびまん性に軽度腫大し、TSH 0.02μU/mL(基準0.2〜4.0)、FT4 3.2ng/dL(基準0.8〜2.2)であった。またヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉は200,000mIU/mL(基準16,000〜160,000)であった。
次に測定すべき検査項目はどれか。
TRAb
サイログロブリン
尿中ヨウ素排泄量
抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体
放射性ヨード(123I)の甲状腺摂取率

解答: a

110A44の解説

妊娠に伴って発生した甲状腺機能亢進症状。FT4が上昇し、フィードバックによりTSHが低値を示している。hCGが基準値上限を超えている点に注目しよう。hCGにはTSH類似作用があるため、これに伴って甲状腺機能が亢進した可能性が高い(なぜhCGが基準値上限を超えているかの究極的な原因は本文だけからは判別不能)。が、もちろん背景にBasedow病など甲状腺疾患が存在する可能性も否めず、このへんを鑑別していくこととなる。
a 正しい。妊娠にともなって生じた一過性のものなのか、Basedow病が背景にあるのか、鑑別が重要となる。
b・c 甲状腺機能の異常があれば非特異的に変動する。すなわちこれらの値が異常値であることを示したところで「甲状腺異常がある」としか言えず、得られる情報が少ない。
d aと比べ、非特異的な抗体である。
e 妊婦に放射性ヨードを投与するのは禁忌である。

正答率:61%

テーマ:妊婦に生じた甲状腺機能亢進症

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