109I43

61歳の女性。無表情、無関心で元気がなくなったことを心配した家族に伴われて来院した。半年前から毎日、同じ時間に寝て起き、必ず同じ経路を散歩し、同じ料理しか作らず、他の家事をしなくなってきた。夫が注意しても平気な態度を示す。夫は「些細なことで急に怒り出すこともあって、人が変わってしまったようだ」と言う。診察室に入った途端に、自分では困ったことはないと挨拶もせず帰ろうとする。問題行動についての質問には返答しない。明らかな記銘力の低下を認めない。神経学的所見を含め身体所見に異常を認めない。
最も考えられるのはどれか。
強迫性障害
脳血管性認知症
前頭側頭型認知症
Lewy小体型認知症
Alzheimer型認知症

解答: c

109I43の解説

夫の発言が正答へのカギ。キレやすい・人が変わってしまったよう、といった記載からは前頭側頭型認知症が考えやすい。
a 理不尽さを自覚しつつも脅迫行為を繰り返す。
b まだら認知症や情動失禁、階段状進行をみる。
c 正しい。上記の通り。
d 幻視やParkinsonismがみられる。
e 記銘力の低下が必発である。

正答率:91%

テーマ:前頭側頭型認知症〈FTD〉の診断

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