109H33

次の文を読み、33、34の問いに答えよ。
72歳の男性。腰背部痛を主訴に来院した。
現病歴:3か月前から荷物の運搬時に腰背部痛を自覚するようになった。その後、安静時にも常に痛みを感じるようになり、日常生活にも支障をきたすようになったため受診した。
既往歴:30歳時に十二指腸潰瘍で投薬されていた。
生活歴:喫煙は20本/日を52年間。これまでに禁煙したことはない。妻と長男夫婦との4人暮らし。10年前から自営の販売業を長男に引き継いで店に時々顔を出している。
家族歴:父親が前立腺癌で死亡。
現症:意識は清明。体温37.2℃。脈拍80/分、整。血圧154/88mmHg。呼吸数16/分。背部に発赤はなく腫瘤を認めない。下部胸椎と腰椎との棘突起上に叩打痛を認める。
検査所見:胸部エックス線写真で両肺に多発する腫瘤影を認め、気管支内視鏡による肺生検で扁平上皮癌と診断された。胸腰椎MRIで腰椎への多発転移を認めた。
予測される予後と治療方法との選択肢について担当医が患者に説明を行ったところ、患者は「俺も十分生きたし未練はない。息子もあとを任せられるまで育った。ただ痛いことや苦しいことは何とかしてほしいし、最後まで店には出ていたい」と述べた。妻と長男も十分納得し、余命の延長より患者のQOLを支援するケアをできるだけ自宅で目指すことで合意した。
この患者に対するケアの具体的な目標設定として適切でないのはどれか。
禁煙が達成されていること
安静時の呼吸困難がないこと
仕事を可能な限り続けること
残りの時間を家族とともに暮らすこと
痛みが生活に支障のない程度であること

解答: a

109H33の解説

肺癌の腰椎多発転移によるターミナルケア。最終4行がポイントとなる。
a 誤り。この時点で禁煙しても肺癌が治るわけではなく、むしろQOLを低下させるだけになってしまう。
b 「苦しいことはなんとかしてほしい」とある。
c 「最後まで店には出ていたい」とある。
d 妻・長男も交え、ケアをできるだけ自宅で目指すことで合意している。
e 「痛いことは何とかしてほしい」とある。

正答率:86%

テーマ:【長文1/2】終末期医療におけるケアの具体的な目標設定

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