109D60

32歳の女性。未経妊。月経痛を主訴に来院した。月経周期は29日型、整。5年前から毎月、月経痛に対し鎮痛薬を服用していた。6か月前から下腹部痛が強くなり仕事や家事に差し支えるようになった。2か月前から持続的な腰痛も出現するようになったため受診した。将来の挙児を希望している。内診で子宮は正常で、有痛性で腫大した両側付属器を触れる。Douglas窩に有痛性の硬結を触知する。経腟超音波検査で両側卵巣にチョコレート嚢胞(右は径3cm、左は径2cm)を認める。
治療として適切なのはどれか。3つ選べ
低用量ピル
GnRHアゴニスト
黄体ホルモン療法
副腎皮質ステロイド
エストロゲン補充療法

解答: a,b,c

109D60の解説

チョコレート嚢胞の診断はついている。本文中に記載されている月経痛や腰痛、腫大した両側付属器、Douglas窩の有痛性硬結などはチョコレート嚢胞の特徴である。チョコレート嚢胞は子宮内膜症の一形態であり、エストロゲンがリスクとなることを確認したい。実質的な一般問題であり、あまり臨床問題の形にしている意味がない問題。
a・b 正しい。エストロゲン作用を抑える効果があり、有効。ただしここで問題となるのは挙児希望である。「将来の挙児希望」という日本語があいまいであり、やや悩む。「今すぐの挙児希望」であれば、これらは不適切となるが、ここでの「将来」とは年単位を指すのであろう。
c 正しい。黄体ホルモン(プロゲステロン)はエストロゲンに拮抗するため、有効。
d チョコレート嚢胞に副腎皮質ステロイドは無効。
e エストロゲンはリスクであるため、禁忌。

正答率:87%

テーマ:子宮内膜症性嚢胞〈チョコレート嚢胞〉の治療

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