109D39

64歳の男性。頻尿を主訴に来院した。2か月前から頻尿と排尿時痛とを自覚していた。3日前に血尿を認め心配になったため受診した。身長168cm、体重72kg。腹部に異常を認めない。直腸指診で前立腺は弾性硬で小鶏卵大に腫大している。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血1+、沈渣に赤血球10〜20/1視野、白血球0〜5/1視野。PSA 4.6ng/mL(基準4.0以下)。超音波検査で腎と膀胱とに異常を認めない。膀胱内視鏡検査で隆起性病変は認めないが発赤した膀胱粘膜を複数認める。尿細胞診はクラスV。10日後、経尿道的に膀胱の発赤粘膜を生検したところ、上皮細胞に異型を認めるが間質への浸潤は認めない。
治療として適切なのはどれか。
放射線治療
前立腺全摘術
膀胱部分切除術
抗コリン薬の内服
BCGの膀胱内注入

解答: e

109D39の解説

前立腺が小鶏卵大に腫大しており、前立腺肥大症〈BPH〉がある。これにより主訴の頻尿は説明がつくも、排尿時痛や血尿はBPH単独では考えにくい。PSAが基準値を超えており、前立腺癌の可能性も否めないが、前立腺癌は辺縁域より発生するため血尿をみることがまれ。膀胱内視鏡検査で発赤粘膜がみられ、生検結果より膀胱上皮内癌〈CIS〉の診断となる。
a 移行上皮癌に放射線は効果が乏しい。
b 前立腺癌の治療である。
c 筋層浸潤をみる膀胱癌で考慮される術式。
d 抗コリン薬の投与で尿閉が悪化してしまう。
e 正しい。CISにはBCGの膀胱内注入が第一選択。

正答率:81%

テーマ:膀胱癌(上皮内)の治療の治療

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