109C30

次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
45歳の女性。動悸と体重減少とを主訴に来院した。
現病歴:1か月前から動悸、発汗および手指振戦が出現し改善しないため受診した。食欲は普通だが1か月間で体重が5kg減少した。口渇、多飲および多尿は自覚していない。
既往歴:9歳で虫垂炎。
生活歴:喫煙歴と飲酒歴とはない。
家族歴:姉が脂質異常症で治療中。
現症:意識は清明。身長163cm、体重58kg。体温37.1℃。脈拍102/分、不整。血圧116/64mmHg。眼瞼結膜は貧血様でない。眼瞼短縮を伴う眼球突出を認める。甲状腺はびまん性に腫大している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。皮膚は湿潤。下腿に浮腫を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球470万、Hb 12.9g/dL、Ht 40%、白血球4,800、血小板21万。血液生化学所見:ALP 478U/L(基準115~359)、空腹時血糖92mg/dL、総コレステロール122mg/dL、TSH 0.02μU/mL未満(基準0.4~4.0)、FT4 8.5ng/dL(基準0.8~1.8)。
診断のために追加すべき検査項目はどれか。
抗GAD抗体
血中カテコラミン
抗TSH受容体抗体
脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉
抗甲状腺ペルオキシダーゼ〈TPO〉抗体

解答: c

109C30の解説

中年女性の動悸・体重減少・発汗・手指振戦。眼球突出や甲状腺びまん性腫大、TSH・FT4値より、Basedow病を考える。
a 1型糖尿病で陽性となる。
b 褐色細胞腫で高値となる。
c 正しい。抗TSH受容体抗体がBasedow病の原因である。
d 心不全で高値となる。
e Basedow病や慢性甲状腺炎〈橋本病〉で陽性となる。Basedow病での特異度は高くないため、設問の要求である「診断のため」には使用できない。

正答率:90%

テーマ:【長文1/2】Basedow病の診断に有用な検査項目

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし