109B53

次の文を読み、53~55の問いに答えよ。
81歳の男性。発熱を主訴に来院した。
現病歴:5日前から37℃台の発熱が出現し、3日前から腰痛が出現した。腰痛は鈍痛で、運動時と安静時ともに自覚していた。自宅で様子をみていたが改善しないため受診した。
既往歴:61歳から糖尿病のため内服加療中。
家族歴:父親が胃癌。母親が大腸癌。
生活歴:妻との2人暮らし。海外渡航歴はない。
現症:意識は清明。身長165cm、体重57kg。体温38.2℃。脈拍96/分、整。血圧138/80mmHg。呼吸数22/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腰部正中に叩打痛を認める。足背動脈の触知は良好で左右差を認めない。下腿に浮腫を認めない。神経学的所見に異常を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体1+、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球476万、Hb 12.9g/dL、Ht 40%、白血球13,300(桿状核好中球32%、分葉核好中球54%、好酸球1%、好塩基球1%、単球2%、リンパ球10%)、血小板43万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.8g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.3mg/dL、AST 30U/L、ALT 28U/L、LD 170U/L(基準176~353)、ALP 402U/L(基準115~359)、γ-GTP 49U/L(基準8~50)、アミラーゼ121U/L(基準37~160)、CK 58U/L(基準30~140)、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、尿酸7.1mg/dL、血糖148mg/dL、HbA1c 8.5%(基準4.6~6.2)、総コレステロール199mg/dL、トリグリセリド180mg/dL、Na 130mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 98mEq/L。CRP 3.2mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.37、PaCO2 36Torr、PaO2 98Torr、HCO3 20mEq/L。12誘導心電図で異常を認めない。胸部エックス線写真に異常を認めない。腹部CTに異常を認めない。腰部MRI(A、B)を別に示す。
この患者の状態はどれか。
髄膜炎
脊髄炎
腎盂腎炎
腸腰筋膿瘍
化膿性脊椎炎

解答: e

109B53の解説

糖尿病の既往があり、血糖148mg/dL・HbA1c 8.5%とコントロールが悪い。すなわち易感染性の状態であり、こうした患者では健常人では考えられない部位や状況で感染症をきたすことがあるので注意が必要。好中球優位の白血球上昇とCRPの上昇があり、細菌感染が予想される。画像A, BではL3, L4に高信号域がみられる。化膿性脊椎炎が考えられる。
a 髄膜炎では頭痛など髄膜刺激症状がみられるはずである。
b 脊椎炎と一文字違いであるが、全く異なる病態。脊髄炎であれば神経学的所見がみられるはずである。
c 腎盂腎炎では尿検査で沈渣に白血球がみられるはずである。
d 画像Bより腸腰筋に異常はみられない。
e 正しい。上記の通り。

正答率:92%

テーマ:【長文1/3】化膿性脊椎炎の診断

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