109B42

6歳の女児。発達の遅れを心配した母親に連れられて来院した。乳幼児期から言葉や歩行の発達が遅れ、知的障害を伴っていた。遺伝性の疾患が心配で受診が遅れたが、地域に同じような症状を訴える人がいることがわかり心配になって受診した。妹も同じ症状がある。感染症を示唆する所見はない。医師が相談した保健所のその後の調査により、言語障害、歩行障害および知的障害のいずれかを認める多数の患者の存在が次第に明らかになった。患者が居住する人口約10万人の湾岸地域における環境汚染物質による曝露が疑われるが、原因は特定できていない。
このような状況で、患者集団に対する初期の対応として適切なのはどれか。
地域住民の集団移転
裁判による患者認定
患者の生体試料の収集
患者と家族の遺伝子検査
行政による被害認定のための審査

解答: c

109B42の解説

感染症を示唆する所見はないというが、人口約10万人の湾岸地域での環境汚染となれば大ニュースであり、慎重な対応が必要となる。
a 現時点で汚染物質がこの地域に存在するのか不明である。集団移転は早計。
b・e 「原因は特定できていない」とあり、こうしたお役所的なプロセスは二の次である。
c 正しい。まずは原因物質の特定と、現時点で曝露がつづいているのかの解明が必要。現時点で判明している患者の血液サンプル等を収集し、その分析を行うのが第一歩となる。
d 環境汚染物質による曝露が疑われているため、遺伝性疾患は否定的。

正答率:91%

テーマ:環境汚染物質による曝露が疑われる場合の初期対応

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし