109A46

75歳の女性。主婦。右手指のしびれ感を主訴に来院した。3年前から特に誘因なくしびれ感が出現した。1か月前から朝方に手のしびれ感が強くなり目が覚めるようになった。さらにシャツのボタンがかけにくくなったため受診した。右母指から環指橈側にかけて軽度の感覚鈍麻を認め、二点識別覚は10mm以上である。掌側手関節部を叩打すると示指に走るようなしびれ感を訴える。手関節掌屈位を保持させると手指のしびれ感が増強する。両側の母指と示指で正円を作るように指示(perfect "O" テスト)したときの写真を別に示す。血液所見:赤血球463万、白血球8,400。血液生化学所見:空腹時血糖105mg/dL、HbA1c 6.2%(基準4.6〜6.2)。
障害されているのはどれか。
尺骨神経
正中神経
C5神経根
後骨間神経
橈骨神経浅枝

解答: b

109A46の解説

写真に提示されているperfect “O”テストでは右手のみ母指と示指をきちんと合わせることができていない。「右母指から環指橈側にかけての軽度の感覚鈍麻」という記載もヒントになろう。手根管症候群による右正中神経障害である。
a 尺骨神経障害では環指尺側と小指の感覚障害をみる。
b 正しい。上記の通り。
c 手掌の神経支配はC6, 7, 8による。C5は支配していない。
d 後骨間神経は橈骨神経の枝。これの障害によって指を伸展させることができなくなる。
e 橈骨神経浅枝障害では母指背側と手背橈側の感覚障害をみる。

正答率:88%

テーマ:手根管症候群の障害部位

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