109A36

48歳の女性。昨年と今年の健康診断にて肝機能障害を指摘されて来院した。発熱と腹痛とはない。飲酒歴はない。常用している薬剤や栄養機能食品はない。身長159cm、体重49kg。体温36.4℃。脈拍60/分。血圧110/62mmHg。眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球432万、Hb 14.0g/dL、Ht 40%、白血球3,500、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.4g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 101U/L、ALT 89U/L、γ-GTP 51U/L(基準8〜50)、ALP 298U/L(基準115〜359)、IgG 2,710mg/dL(基準960〜1,960)、IgM 99mg/dL(基準65〜350)。免疫血清学所見:HBs抗原(−)、HBs抗体(−)、HBc抗体(−)、HCV抗体(−)。
診断に最も有用なのはどれか。
抗DNA抗体
抗平滑筋抗体
抗カルジオリピン抗体
抗ミトコンドリア抗体
抗甲状腺ペルオキシダーゼ〈TPO〉抗体

解答: b

109A36の解説

中年女性の肝障害。原発性胆汁性胆管炎〈PBC〉と自己免疫性肝炎〈AIH〉の鑑別となる。PBCであればγ-GTPとALPが上昇するはずであり、AIHが考えやすい。IgG上昇もこれを示唆する。
a 全身性エリテマトーデス〈SLE〉でみられる。
b 正しい。AIHの診断に有用なのは抗平滑筋抗体である。
c 抗リン脂質抗体症候群〈APS〉でみられる。
d PBCでみられる。
e Basedow病や慢性甲状腺炎〈橋本病〉でみられる。

正答率:70%

テーマ:自己免疫性肝炎〈AIH〉の診断に有用な抗体

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