108I72

79歳の女性。両上肢の痛みとこわばりを主訴に来院した。2週前から両上肢の痛みとこわばりが出現した。1週前から頭痛と夕方から夜にかけての38℃の発熱とを自覚した。起床時にはこわばりがひどく、寝返りができない。2週間で体重が1.5kg減少した。体温37.9℃。脈拍84/分、整。血圧142/80mmHg。眼瞼結膜は貧血様である。両側の上腕に圧痛を認める。関節に腫脹と圧痛とを認めない。赤沈102mm/1時間。血液所見:赤血球301万、Hb 9.6g/dL、Ht 29%、白血球9,800、血小板47万。血液生化学所見:総蛋白5.9g/dL、AST 29U/L、ALT 28U/L、LD 321U/L(基準176~353)、CK 38U/L(基準30~140)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.9mEq/L、Cl 100mEq/L。
早急に対応すべき病態の判断に最も重要な質問はどれか。
「よく眠れますか」
「腰は痛いですか」
「寝汗はかきますか」
「目は見えにくくないですか」
「太ももに痛みはありますか」

解答: d

108I72の解説

高齢女性の両上肢の痛みとこわばり。これだけの情報では関節リウマチ〈RA〉を考えていくところであるが、38℃の発熱がみられていることが解せない。「関節に腫脹と圧痛とを認めない」という記載からも関節疾患は否定されよう。ポイントは上腕の圧痛。これは筋痛を示唆する。筋痛があるにもかかわらず、CKが基準値内に収まる疾患として思い出さねばならないのが、リウマチ性多発筋痛症〈PMR〉である。
a・b・c・e いずれもみられうる症状ではあるが、早急に対応すべきとはいえない。
d 正しい。PMRに合併する側頭動脈炎〈巨細胞性動脈炎〉では虚血性視神経炎を合併しうる。これは失明につながる危険性があり、早急な対応が必要とされる。

正答率:77%

テーマ:リウマチ性多発筋痛症〈PMR〉で早急に対応すべき病態の判断

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