108I41

58歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。2年前に乳癌で左乳房切除術を受けている。呼吸困難は3週前から徐々に進行してきている。収縮期の心エコー図(A、B、C)を別に示す。
この患者に認められる可能性が低いのはどれか。
奇脈
頻脈
肝腫大
高血圧
頸静脈怒張

解答: d

108I41の解説

画像A~Cすべてにおいて心臓周囲にecho free spaceがみられる。心嚢水の貯留が示唆され、心タンポナーデが考えられる。乳癌の既往があり、癌の心膜転移が起こったのであろう。
a 吸気時に収縮期圧が10mmHg以上低下することを奇脈と呼ぶ。心タンポナーデや収縮性心膜炎でみられる。
b 拡張不全により、心拍出量が低下している。これを代償すべく頻脈をきたす。
c・e 心タンポナーデでは右心不全が出現する。これらは右心不全徴候であり、みられる可能性が高い。
d 誤り。bで示したように、心拍出量が低下している病態である。ゆえに血圧は低下する。

正答率:67%

テーマ:乳癌転移による心タンポナーデの症候

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