108H31

次の文を読み、31、32の問いに答えよ。
48歳の女性。左下肢の腫脹を主訴に来院した。
現病歴:3日前から特に誘因なく急に左下腿の腫脹、疼痛が出現した。
既往歴:2年前から更年期障害に対してホルモン補充療法を受けている。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:特記すべきことはない。
現症:意識は清明。身長154cm、体重65kg。体温36.8℃。脈拍92/分、整。血圧110/72mmHg。呼吸数15/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢の写真を別に示す。左下肢には部分的に表在静脈拡張が認められ、左下肢全体に圧痛を認めた。
この患者で最も考えられる疾患についての諸検査の検査特性を表に示す。
感度 特異度
Dダイマー測定 89% 55%
空気容積脈波検査 85% 91%
下肢静脈造影MRA 91% 93%
血小板シンチグラフィ 73% 68%
下肢静脈圧迫超音波検査 91% 98%
検査特性と侵襲を考慮した場合、確定診断のためにまず選択すべき検査はどれか。
Dダイマー測定
空気容積脈波検査
下肢静脈造影MRA
血小板シンチグラフィ
下肢静脈圧迫超音波検査

解答: e

108H31の解説

2年前から更年期障害に対してホルモン補充療法を受けている。ホルモンとは具体的に言えばエストロゲンのことであり、補充による副作用として凝固能亢進がある。下肢の写真から左下肢全体が発赤・腫脹していることが見て取れるため、深部静脈血栓〈DVT〉を考えたい。
a~e 確定診断に有用なのは特異度が高い検査。ゆえにeの下肢静脈圧迫超音波検査をまず選択すべき。cの下肢静脈造影MRAも特異度は93%と高いが、これは侵襲が強いため、下肢静脈圧迫超音波検査をせずにあえて選択するものとはいえない。

正答率:91%

テーマ:【長文1/2】特性表から選ぶ深部静脈血栓症〈DVT〉の検査

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