108H27

66歳の男性。胸部違和感を主訴に来院した。1週前から持続性の前胸部の違和感を感じるようになった。自宅近くの診療所を受診し胸部エックス線写真で異常を指摘されたため紹介されて受診した。身長170cm、体重65kg。脈拍68/分、整。血圧130/72mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。既往歴に特記すべきことはない。喫煙は20本/日を45年間。初診時の胸部エックス線写真(A)と胸部造影CT(B)とを別に示す。
出現しやすい症候はどれか。
嗄声
縮瞳
脱力感
上腕のしびれ
顔面と上肢の浮腫

解答: e

108H27の解説

「胸部の違和感」という漠然とした主訴で66歳の男性が受診している。喫煙歴があるため、循環器や呼吸器の疾患を思い浮かべるが、実質的に画像の読解勝負。画像Aでは右縦隔~上肺野にかけての強大な腫瘤影がある。画像Bでも同部位に腫瘤が同定可能。肺癌の可能性が高そうだが、本問を正答するにあたって、確定診断は不要である。
a △。腫瘤が右反回神経(右鎖骨下動脈を反回する)を圧迫した場合、嗄声がみられる可能性はある。が、画像上指摘はできないため、「出現しやすい」とまでは言えない。
b~d 縮瞳や上腕のしびれ、脱力感はPancoast症候群でみられる。これは肺尖部に腫瘤が存在した場合である。
e 正しい。画像Bにて上大静脈が圧迫により閉塞しかかっていることが指摘可能。これによる上大静脈症候群が出現しやすい。

正答率:82%

テーマ:肺門部肺癌で出現しやすい症候

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