108D30

60歳の男性。嚥下障害を主訴に来院した。35歳ころに下肢の筋力低下が出現し、徐々に進行した。40歳ころには上肢にも筋力低下が出現し、両手に粗大な動作時振戦がみられるようになった。50歳ころには、ろれつが回りにくくなり、半年前から嚥下障害が出現し鼻声になった。平地歩行はかろうじて可能である。発話の際に顔面筋の線維束性収縮が認められる。患者は3人兄弟の末子で兄が同じ症状を示すという。挺舌時の写真を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
Huntington病
球脊髄性筋萎縮症
遺伝性脊髄小脳変性症
Charcot-Marie-Tooth病
Becker型進行性筋ジストロフィー

解答: b

108D30の解説

下肢から上行する筋力低下があり、線維束性収縮など下位運動ニューロン障害はあるも、上位運動ニューロン障害はみられていない。兄が同じ症状を示すことから遺伝性疾患(特にX染色体劣性遺伝〈XR〉)が考えられ、球脊髄性筋萎縮症〈Kennedy-Alter-Sung病〉を疑う。両手にみられる粗大な動作時振戦は不随意運動であるが、これは錐体外路症状ではなく、下位運動ニューロン障害の一環としてみられているものである。
a Huntington病では舞踏様運動をみる。
b 正しい。上記の通り。女性化乳房を呈することを確認しておきたい。
c 遺伝性脊髄小脳変性症では小脳失調症状をみる。
d Charcot-Marie-Tooth病では、前脛骨筋障害をきたし、逆シャンペンボトル様の下腿萎縮をみる。
e Becker型進行性筋ジストロフィーでは線維束性収縮をみない。

正答率:73%

テーマ:球脊髄性筋萎縮症〈SBMA〉の診断

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