107I72

28歳の女性。腹痛と下痢とを主訴に来院した。年末の休暇で帰省し、昨日の夕食に貝類を含む多くの魚介類を家族とともに生食した。本日昼ころから、軽度の腹痛を伴う水様下痢が出現し、5、6回排便があったため受診した。母親と妹とが同じ時期から下痢を発症しているが程度は軽い。体温36.8℃。脈拍84/分、整。血圧112/76mmHg。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。腸雑音は亢進している。血液所見:赤血球440万、Hb 13.5g/dL、Ht 41%、白血球8,300、血小板18万。血液生化学所見:尿素窒素14mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na 137mEq/L、K 3.4mEq/L、Cl 115mEq/L。CRP 0.1mg/dL。
治療として適切なのはどれか。
経口補液
抗菌薬の投与
抗コリン薬の投与
抗ウイルス薬の投与
非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉の投与

解答: a

107I72の解説

魚介類生食後の腹痛と下痢であり、家族も同様の症状を呈していることから食中毒なのは明らか。
a 正しい。嘔吐はみられておらず、経口補液で対処する。
b 白血球やCRP上昇がみられず、細菌感染は否定的。
c 抗コリン薬は消化管運動を抑制する。腹痛や下痢は緩和されるかもしれないが、逆にウイルスを体内に留めてしまうこととなり不適切。
d ノロウイルスなどウイルス性の食中毒が考えやすいが、これら食中毒の原因となる病原体に有効な抗ウイルス薬は存在しない。
e 消炎鎮痛薬である。腹痛は緩和される可能性があるが、発熱もない今、あえて使用する薬剤ではない。

正答率:93%

テーマ:食中毒の治療

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