107I60

生後15日の新生児。昨夜からの胆汁性嘔吐と血便とを主訴に来院した。上部消化管造影像を別に示す。
この患児について正しいのはどれか。
腹部に腫瘤を触知する。
緊急手術が必要である。
虫垂は右下腹部にある。
下部消化管造影が必要である。
腹部超音波検査でtarget signがみられる。

解答: b

107I60の解説

新生児の胆汁性嘔吐と血便。胆汁性嘔吐のみならVater乳頭より肛側の腸閉塞を考え、血便であればMeckel憩室などを考えていくこととなるのだが、両者が併存する例はめずらしい(新生児に腸重積はまれである)。腸閉塞かつ腸管出血がある病態を念頭におく。画像では十二指腸の狭窄と、それ以下に位置する小腸の絡まりあった像が描出されている。中腸軸捻転の診断である。
a 肥厚性幽門狭窄症で腹部に腫瘤をふれる。
b 正しい。緊急手術を行う場面である。中心となるのはLadd靱帯切除と軸捻転の解除である。また捻転の再発予防に腸間膜根部の切除を行い、虫垂も切除する。
c 背景には腸回転異常症があるため、虫垂は正中部にある。
d すでに診断はついており、下部消化管造影は不要。
e target signは腸重積でみられる。上述のように、腸重積の好発は生後3か月~1歳である。

正答率:72%

テーマ:中腸回転異常の患児について正しい記載

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