107I56

51歳の男性。労作時の息苦しさを主訴に来院した。半年前に全身倦怠感と微熱とが出現したため自宅近くの診療所を受診した。外来検査で赤沈亢進、白血球増加および高γ-グロブリン血症を認め、抗菌薬の投与を受けたが改善しなかった。2か月前から労作時に息苦しさを感じるようになり、増強してきたため紹介され受診した。脈拍92/分、整。血圧120/80mmHg。呼吸音に異常を認めない。座位と仰臥位とで心音に異常を認めないが、左側臥位で心尖部に第II音の直後に過剰音を聴取する。胸部エックス線写真と心電図とに異常を認めない。
最も考えられるのはどれか。
心膜炎
左房粘液腫
僧帽弁狭窄症
感染性心内膜炎
僧帽弁逸脱症候群

解答: b

107I56の解説

中年男性の労作時の息苦しさと炎症症状。僧帽弁領域の体位依存性の心雑音であり、炎症所見と合わせて左房粘液腫を考える。「左側臥位で心尖部に第II音の直後に過剰音を聴取する」のはtumor plopと呼ばれるものであり、拡張早期の左房から左室への血流により、腫瘍が僧帽弁口に嵌入するために生じる音だ。僧帽弁狭窄症〈MS〉でいうopening snapに該当する。
a 心膜炎では心電図にて広範なST上昇をみる。
b 正しい。上記の通り。
c MSの心雑音は体位依存ではない(増強方法として左側臥位にさせることはあるが)。また、MS単独にて炎症反応は通常みられない。
d 感染性心内膜炎〈IE〉では弁破壊を呈するため、僧帽弁閉鎖不全症〈MR〉や大動脈弁閉鎖不全症〈AR〉の心雑音を聴取する。また、抗菌薬に反応する可能性が高い。
e 僧帽弁逸脱症候群〈MVP〉ではMR様の雑音と、収縮中期クリックとを聴取する(II音の直後は拡張期であることに注意せよ)。

正答率:63%

テーマ:左房粘液腫の診断

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