107G56

79歳の男性。息切れと胸痛とを主訴に来院した。生来健康であったが、5年前から心雑音を指摘されていた。1か月前から坂道や階段歩行で息切れと胸痛とを自覚したため受診した。体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧118/72mmHg。下腿に浮腫を認めない。聴診で収縮期駆出性〈収縮中期性〉雑音を聴取する。心エコーで大動脈弁の高度石灰化を認め、大動脈弁口面積は0.8cm2であった。人工弁の写真(①、②)を別に示す。
この患者の手術治療における2種類の人工弁に関する説明で最も適切なのはどれか。
「あなたには①の弁をお勧めします」
「②の弁は毎年交換する必要があります」
「①の弁は②の弁より弁機能に優れています」
「②の弁はアレルギー反応に関する術前精査が必要です」
「①の弁は手術後生涯にわたりワルファリンの内服が必要です」

解答: e

107G56の解説

大動脈弁口面積が0.8cm2と1cm2を切っているため、高度大動脈弁狭窄症〈AS〉と診断される。第一選択は大動脈弁置換術となるわけだが、その際に選択される弁についての出題である。画像で提示されているのは①が機械弁、②が生体弁。
a 高齢者には生体弁が推奨される。
b 生体弁の耐用年数は10~20年とされる。
c いずれかの弁機能がいずれかに優っているのであれば、他方の弁はこの世から駆逐されているはずであり、両者に優劣はない。
d 生体弁は確かにウシやブタといった異種に由来するが、グルタルアルデヒド処理により滅菌と抗原性の喪失をされているため、アレルギー反応はきたさない。
e 正しい。機械弁には血栓が付着するというデメリットがあり、そのため手術後生涯にわたり抗凝固薬の内服が必要となる。

正答率:92%

テーマ:大動脈弁狭窄症〈AS〉患者の弁置換に用いる人工弁の説明

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし