107D58

75歳の男性。高蛋白血症の精査のため来院した。3か月前からの腰痛を主訴に自宅近くの医療機関を受診し、血液生化学検査で総蛋白の高値を指摘され精査のため来院した。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球439万、Hb 14.2g/dL、Ht 43%、白血球6,300(桿状核好中球7%、分葉核好中球52%、好酸球2%、単球4%、リンパ球35%)、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白9.2g/dL、アルブミン4.5g/dL、尿素窒素17mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、IgG 3,170mg/dL(基準960~1,960)、IgA 28.6mg/dL(基準110~410)、IgM 18.3mg/dL(基準65~350)、血清β2-ミクログロブリン2.6mg/dL(基準1.2~2.5)、Ca 9.5mg/dL。血清蛋白電気泳動(A)と骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(B)とを別に示す。
今後予想される合併症はどれか。3つ選べ
貧血
腎機能障害
低カルシウム血症
アミロイドーシス
播種性血管内凝固〈DIC〉

解答: a,b,d

107D58の解説

高齢者の腰痛と血清蛋白異常であり、真っ先に多発性骨髄腫〈MM〉を思い浮かべることとなる。画像Aにてγグロブリンの上昇があり、画像Bにて形質細胞(核周囲明庭をもつ)の異常増殖をみとめる。IgGの上昇と、他免疫グロブリンの抑制もみられている。MMの診断となる。
a 正しい。形質細胞の異常増殖により正常造血が抑制される。これにより貧血をみる。
b 正しい。骨髄腫腎を呈し、腎機能障害をみる。
c 高カルシウム血症をみる。
d 正しい。アミロイド蛋白が増加し、アミロイドーシスをみる。
e 播種性血管内凝固〈DIC〉がみられても不思議ではないが、MMに特に合併しやすい、というわけではない(MM以外の患者にDICが起こる確率と有意差はない)。

正答率:69%

テーマ:多発性骨髄腫〈MM〉で今後予想される合併症

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