107D42

68歳の女性。料理の段取りができなくなったことを主訴に来院した。6か月前から料理に時間がかかるようになったが、本人も夫もあまり気にしていなかった。3か月前からそれまで得意にしていた料理がうまくできなくなった。かかりつけ医でうつ病と診断され、抗うつ薬の投与が開始されたが改善せず、ぼーっとしていることが多くなったため紹介され受診した。28歳時に十二指腸潰瘍の既往がある。意識は清明。時間と場所の見当識障害を認める。身長152cm、体重48kg。体温36.3℃。脈拍84/分、整。血圧138/86mmHg。呼吸数20/分。神経学的診察では、脳神経系に異常を認めない。両上肢に軽度の筋トーヌス亢進とミオクローヌスとを認める。四肢筋力低下を認めない。四肢腱反射亢進を認める。感覚障害と小脳失調とを認めない。歩行はやや不安定であるが自力歩行が可能である。血液所見:赤血球410万、Hb 13.0g/dL、Ht 36%、白血球4,500、血小板22万。CRP 0.2mg/dL。検査のため短期入院となった。初診時の頭部MRIの拡散強調像を別に示す。
対応として正しいのはどれか。
トイレは専用とする。
入院は一般病棟でよい。
入浴はシャワー浴のみとする。
食器はディスポーザブルでなければならない。
下着はドデシル硫酸ナトリウム〈SDS〉処理後に処分する。

解答: b

107D42の解説

高齢女性の急速に進行する認知症。画像では大脳皮質に沿った広範な高信号域を認める。ミオクローヌスを認めることと合わせて、Creutzfeldt-Jakob病〈CJD〉を考えたい。CJDの原因となるのは異常プリオンタンパクである。
a プリオンタンパクは便中に排泄されるものではない。
b 正しい。日常生活では感染しないため、入院は一般病棟でよい。
c 湯船につかったから増悪する、といった類の疾患ではない。
d bで示したように、日常生活では感染しない。
e ドデシル硫酸ナトリウム処理が必要となるのは脳外科手術に利用した金属などである。

正答率:83%

テーマ:Creutzfeldt-Jakob病〈CJD〉患者の短期入院に際しての対応

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