106I46

45歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。20歳から毎日飲酒するようになり、日本酒を1日4合飲んでいた。その後、飲酒量は増えたものの仕事に支障をきたすことはなかった。35歳時に職場の定期健康診断で肝機能障害を指摘され、産業医から内科受診と禁酒とを繰り返し勧められたが、受診せず飲酒を続けていた。2か月前に仕事上のトラブルがあり、飲酒量が急激に増加した。5日前からは、朝から飲酒し仕事に行かなくなった。3日前から全身倦怠感が強くなり、増悪してきたため受診した。外来で肝機能障害が認められ、入院することになった。入院後3日、「ここは火葬場で、周りの人間が自分を燃やそうとしている」と言い、興奮し始めた。発汗が著明である。粗大な手指振戦を認める。時々、穏やかに対応することもあるが、自分の居る場所が病院であることを理解できず困惑している様子である。
現時点の対応として適切なのはどれか。
身体拘束を行う。
抗酒薬を投与する。
三環系抗うつ薬を投与する。
ビタミンを含む輸液を行う。
入院形態を措置入院に変更する。

解答: d

106I46の解説

大量飲酒者が急激に飲酒をやめた経緯があり、アルコール離脱による振戦せん妄が考えやすい。
a 時おり穏やかに戻ることがあるため、身体拘束までは不要である。
b 飲酒量を下げる効果が期待できるが、せん妄時には効果がない。
c アルコールとうつ病との関連が指摘されているも、少なくとも急性期に行うべき治療ではない。
d 正しい。アルコール摂取のみの状態が続いているため、脱水の恐れがある。さらに、ビタミンB1欠乏も考えられるためビタミンを含む輸液を行う。
e 「時々、穏やかに対応することもある」といった記載からは自傷他害の恐れは読み取れない。ゆえに措置入院に切り替える必要はない。

正答率:80%

テーマ:アルコール離脱せん妄への対応

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